CCQ レトロスペクティブ図鑑

RETRO TOOLS

ふりかえりツール図鑑

手法を選んだ後に「どう進めるか」のための道具。チェックイン・合意形成・議論の構造化など、使える場面と使い方をまとめました。

親指を使って今の気分・状態を表現するチェックインツール。上(最高)・真ん中(普通)・下(しんどい)の3段階で状態を示し、その後「その心は?」と一言添えてもらう。言葉で表現するより低いハードルで、場の温度感を瞬時に可視化できる。

使い方

1

ルールを説明する

親指を上に向けると「最高・良い感じ」、水平で「普通」、下に向けると「しんどい・難しい」と説明します。

2

一斉に出す

「せーの」で全員が同時に親指を出します。他の人の反応を見て変えないよう、一斉に出すのがポイント。

3

「その心は?」を聞く

全員の状態を確認した後、気になる状態の人から「その心は?」と一言聞きます。特に下を向けた人に安全に話す機会を作ります。

ファシリテーターのヒント

💡

一斉に出すことが大事

順番に出すと、前の人に影響されます。必ず「せーの」で全員同時に。

💡

下向きを責めない

下向きを出した人を「なんで?」と詰めないこと。「もし話せるなら教えて」という姿勢で。

使う場面

レトロのチェックインスプリント開始時チームの状態確認

カイゼンジャーニーでも紹介されている手法。5本の指を使って現在の状態を1〜5で表明する。スプリントの進捗・チームの健康状態・議題への合意度など、あらゆる「今どう?」を数値化できる汎用ツール。全員が一斉に出すことで、他人の影響を受けない純粋な状態が可視化される。

使い方

1

テーマを決める

何を評価するかを明確にします。「今のスプリントの達成感」「このアイデアへの賛成度」など。

2

基準を説明する

5本=最高/全面賛成、1本=最低/反対、3本=普通、という基準を伝えます。チームに合わせて「5本=問題なし」と設定することもあります。

3

一斉に出す

「せーの」で全員が同時に指を出します。

4

少ない本数から聞く

2本以下から順に「どうして?」と理由を聞きます。問題を抱えているメンバーのサポートにつなげます。

ファシリテーターのヒント

💡

カイゼンジャーニー流の使い方

本書では「5本=特に問題なし」に設定して使うことを推奨しています。慎重なチームには高めの基準が振れ幅を作りやすいです。

💡

合意確認にも使える

アイデアへの賛成度を確認する合意形成ツールとしても使えます。3本以下が多ければ議論の余地あり、と判断できます。

使う場面

スプリントのチェックインアイデアへの合意確認進捗の可視化

MiroやFigmaのVote機能、または物理的な丸シールを使って、複数の選択肢に対して優先度を投票するツール。各自に複数票(通常3〜5票)を渡し、重要だと思うものに自由に投票する。多数決とは違い「どれが最も関心を集めているか」を可視化するのが目的。レトロのアクション優先度決めやアイデア選定に頻繁に使う。

使い方

1

選択肢を並べる

投票対象(付箋・アイデア・課題など)を見やすく並べます。

2

票数を決める

一人あたりの票数を決めます。選択肢の数の20〜30%が目安。10個なら2〜3票程度。

3

一斉に投票する

各自が自分の票を好きなところに入れます。1つに全部入れてもOK。MiroはVote機能、物理なら丸シールを使います。

4

集計して話す

票が集まったものを上から話し合います。票が多い=チームの関心が高い、という認識のもと議論します。

ファシリテーターのヒント

💡

票を分散させるか集中させるか伝える

「1つに全部入れてもいい」と伝えると、本当に重要だと思うものへの強い意思表示が生まれます。

💡

結果がそのままアクションではない

ドット投票は優先度の可視化ツールです。票が多いからといって必ずしもそれをやると決まったわけではありません。議論のスタート地点として使いましょう。

使う場面

アクションの優先度決めアイデア選定議題の絞り込み

全員が順番に必ず一度発言する進行方法。声の大きい人だけが話し続ける状況を防ぎ、内向的なメンバーや遠慮がちなメンバーにも発言の機会を確実に作る。「パス」ありにしてもよいが、一周するという構造が場の平等感を生む。特に大事な問いやチェックインで使うと効果的。

使い方

1

順番を決める

時計回り・反時計回り・ランダム(指名)など、順番の決め方を事前に決めておきます。オンラインなら画面の並び順で決めるのが簡単です。

2

一人あたりの時間を決める

一人1〜2分など、時間を決めておくと全体がスムーズに回ります。

3

順番に発言してもらう

「では○○さんからお願いします」と指名しながら一周します。パスOKにする場合は最初に伝えておきます。

4

全員が話したら次のフェーズへ

一周したらファシリテーターがまとめるか、次のアクティビティに移ります。

ファシリテーターのヒント

💡

チェックインに最適

レトロの冒頭チェックインで「一言ずつ今の気分を教えてください」と使うと、全員が場に存在できる感覚が生まれます。

💡

パスは認めつつ最後に戻る

「パスしてもいいですが、最後にもう一度聞きます」とすると、パスした人が考える時間を確保しながら発言機会を保証できます。

使う場面

チェックイン・チェックアウト意見を広く集めたいとき発言の偏りが気になるとき

特定の活動に対して事前に時間を決め、その時間内に完結させるツール。Lean Coffeeの7分タイマー、付箋書きの5分、チェックインの10分など、レトロのあらゆるフェーズに使える。タイマーを可視化することで「終わりが見える安心感」と「今に集中できる環境」が生まれ、議論の長引きを防げる。

使い方

1

時間を宣言する

「次の○分で付箋を書いてください」「この議題は7分で話します」と、始める前に時間を明示します。

2

タイマーをセットして可視化する

タイマーを参加者全員が見える場所に置くか、画面共有します。Miroのタイマー機能やスマートフォンのタイマーが便利です。

3

タイムアップで一度止める

タイマーが鳴ったら活動を止めます。「もう少し時間が必要か?」を全員に確認し、必要なら延長を合意してから続けます。

ファシリテーターのヒント

💡

最初は長めに取る

慣れないうちは短すぎるタイムボックスに焦りを感じる人がいます。最初は余裕を持って設定し、慣れてきたら短くしていきましょう。

💡

タイムアップは柔軟に

タイムボックスは「強制終了」ではなく「立ち止まるタイミング」です。重要な議論は合意の上で延長してOKです。

💡

レトロ全体にも使う

「このレトロは60分です」と最初に宣言することで、チーム全体が時間を意識して動くようになります。

使う場面

付箋書き時間の管理議題ごとの時間区切りレトロ全体の時間管理

レトロスペクティブの父・ノームカース(Norm Kerth)が提唱した宣言文。「チームメンバー全員が、自分たちの持つ知識・スキル・能力・リソースを踏まえて、その状況でできる最善を尽くしたと、私たちは信じています」という内容。DPAで場のルールを作った後に必ずこの宣言を読み上げることで、批判・責任追及のない安全な場が生まれる。

使い方

1

DPAの後に使う

場のルールを決めた後、最優先指令を読み上げる準備をします。

2

全員で声に出して読む

「全員で一緒に読みましょう」と言って、宣言文を画面共有または印刷して全員で読み上げます。

3

「この精神でいきましょう」と確認する

読み終えたら「この精神で今日のふりかえりを進めていきましょう」と一言添えてレトロをスタートします。

ファシリテーターのヒント

💡

宣言文の全文

「チームメンバー全員が、自分たちの持つ知識・スキル・能力・リソースを踏まえて、その状況でできる最善を尽くしたと、私たちは信じています」。毎回使うことで文化として定着します。

💡

インシデント後のレトロに特に有効

障害や失敗の後のふりかえりで、最初にこれを読むことで「犯人探し」の空気を防ぐことができます。

💡

慣れてきたら省略しない

「いつもやってるから」と省略すると、場の安全性が下がることがあります。形式的でも続けることに意味があります。

使う場面

DPAの直後インシデント後のレトロ初めてのレトロ

10人以上の大人数で意見を収束させるときに使うツール。3人程度の小チームに分かれてテーマについてブレストし、上位3つを選んでもらう。1チームずつ発表し、すでに出ているものはマージまたはスキップ、新しいものだけ追加する。ドット投票と違い、重複が自動的に整理されながら収束するのが特徴。

使い方

1

小チームに分かれてブレストする

3人程度のチームに分かれて5〜7分ブレストします。付箋やメモに出し切りましょう。

2

チーム内で上位3つに絞る

チーム内で話し合い、最も重要・有効だと思う3つを選びます。順位もつけておくとスムーズです。

3

1チームずつ1位から発表する

最初のチームが1位を発表しボードに追加。次のチームが1位を発表・被っていればマージ/スキップ、新しければ追加。全チーム3位まで繰り返します。

4

残ったものを全体で確認する

全チームの発表が終わったらボードに残ったものを全員で確認。必要であればドット投票でさらに絞ります。

ファシリテーターのヒント

💡

被ったらマージが基本

完全に同じでなくても「本質的に同じ」と判断したらマージしてOK。「これって似てますよね?」と確認しながら進めましょう。

💡

発表順はランダムに

毎回同じチームが先に発表するとそのチームの意見が残りやすくなります。くじ引きや指名でランダムにしましょう。

💡

みんぐると組み合わせると強い

みんぐるで小チームを作ってブレストした後にチームハーベストで収束する流れが大人数ワークショップに実効的です。

使う場面

10人以上の大人数ワークショップチームを超えた意見収集重複を自動整理しながら収束したいとき

デザイン思考から来たフレームワーク。ダイヤモンド型(拡散→凝集)を2回繰り返す構造で、1回目で「問題を正しく理解する」、2回目で「解決策を作る」。レトロでいえば「付箋を出す(拡散)→グルーピング(凝集)→アイデア出し(拡散)→アクション決め(凝集)」がまさにこれ。拡散中は批判を禁止し、凝集では「つまりこういうこと?」と言い換えてフォーカスさせる。

使い方

1

拡散フェーズを宣言する

「まず批判なしでアイデア・意見を広げましょう」と伝えます。この段階では全員の意見を等しく受け取ります。指名しながら(ラウンドロビン)やタイムボックスを使うと効果的です。

2

十分に出し切る

「もう出ないな」と思ったら「あと一つ、何かありますか?」と促してみます。沈黙を怖がらず、少し待つことも大事です。

3

凝集フェーズに切り替える

「では絞っていきましょう」と明示して切り替えます。似たものをグルーピングしたり、「これってつまりこういうことですか?」と言い換えてまとめます。

4

フォーカスを決める

ドット投票などを使って、最も重要なものを1〜3個に絞ります。

ファシリテーターのヒント

💡

2つのフェーズを混在させない

拡散中に「それは違う」「それは難しい」と批判すると、拡散が止まります。拡散は拡散、凝集は凝集と、フェーズを明確に分けましょう。

💡

「つまりこういうこと?」が凝集の鍵

複数の意見を「これって同じことを言ってますよね」と言い換えることで、自然に凝集できます。ただし強引にまとめすぎないよう注意。

💡

レトロ以外でも使える

会議・ブレスト・1on1など、あらゆる場面で使える汎用的な構造です。「今は拡散ですか凝集ですか?」と問いかけるだけで議論が整理されます。

使う場面

付箋出しからアクション決めへの流れブレインストーミング会議の議論整理
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