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心理的安全性の作り方 | 「リアクションが生まれる仕組み」をEMが現場で実践した話
2026/4/6
私は誰もリアクションしないあの空気感がめちゃくちゃ怖いです。
新しいアイデアを出したとき、提案したとき、沈黙が返ってくる。「つまらなかったのかな」「伝わらなかったのかな」と不安に駆られる。チームで仕事をしていて、一番つらかった瞬間はいつも、あの静けさの中にありました。
「チームで仕事をするなら、リアクションし続けよ」という森一貴さんの記事を読んだとき、完全に同意しました。落ち込むたびに読んでいた、お守りのような記事です。
でも、チームにこの記事を共有しても、自分がリアクションし続けていても、なかなかチーム全体にリアクションが増えなかった。
だから私は、考え方を変えました。「リアクションし続けよう」ではなく、リアクションしやすい"場"を作ろうと。
「リアクションし続けよう」だけでは、心理的安全性は高まらない
「リアクションし続けよう」と言うのは簡単です。でもそれは、相手の出方次第であり、相手に依存する考え方でもあります。
自分ひとりがリアクションし続けても、チーム全体がそうなるとは限りません。むしろ、自分だけがリアクションし続けて疲弊して、燃え尽きてしまうことすらあります。
だったら、リアクションが自然に生まれる仕組みを作ればいい。発言しやすい場づくりを、自分の手で設計すればいい。
EMになってから、私はいくつかの仕掛けを作りました。
心理的安全性の作り方——私が職場で実践した5つの仕掛け
1. レトロスペクティブにDPA(Design the Partnership Alliance)を導入した
レトロスペクティブの最初にDPAを取り入れました。チームで「この場をどういう場にしたいか」を話し合い、スタンプを押すルールにして、誰かの発言や意見には必ずリアクションされる状態を作りました。
これは「反応していいんだ」という空気を最初に作るための仕掛けです。私自身がチームの声のすべてにリアクションすることで、「この場は反応が返ってくる場所だ」と感じてもらえるようにしました。
2. カメラオン+ファイブフィンガーサインで、声を出さなくてもリアクションできるようにした
レトロスペクティブの時間はカメラオンにすることをチームで決めました。そして、ファイブフィンガーサイン(指の本数で同意度を示す方法)を導入しました。
声を出すことはハードルが高い。でも、指を立てるだけならできる。リアクションの最小単位を下げることが、発言しやすい場づくりの第一歩だと思っています。
3. オープンクエスチョンをやめて、クローズドクエスチョンにした
「どう思いますか?」というオープンクエスチョンは、実は答えにくいんです。何を答えればいいのか、どこから話せばいいのか、考えているうちに沈黙になってしまう。
だから「AとB、どちらが良さそうですか?」というクローズドクエスチョンに変えました。選ぶだけならリアクションしやすい。反応のハードルを下げるために、問いかけの仕方そのものを変えたんです。
4. アイデアは「いきなり全部」ではなく「課題から少しずつ」広げた
新しいアイデアを出すときに、いきなり全体像を話すのをやめました。まず課題を共有して共感を得てから、提案に移る。
さらに、相手のナラティブ(相手にとっての文脈や物語)で語ることで、「自分ごと」として受け取ってもらいやすくなります。言葉だけではなく図や絵を描くようにして、理解のハードルも下げました。
5. すべての仕掛けに共通する考え方——「相手のせいにしない」
これらの仕掛けに共通しているのは、リアクションが無いことをメンバーのせいにしないという考え方です。
無視しようと思って悪意を持っている人なんていません。「やり方がわからない」「考えている途中」「どうしたらいいか悩んでいる」
リアクションできないのは、そういう理由の方が圧倒的に多いと思います。
だからそんな人をそっとアシストできる仕組みを作り、それを文化にしたいと考えていました。
なぜリアクションが無いのか、深掘りする
私はシステムコーチング(ORSC®︎)を学んでいく中で、チームの中にはディープデモクラシー、表に出ていない声や感情があるのではないかと観察し、仮説を立てるようになりました。
ディープデモクラシーとは、社会・組織・個人におけるすべての「声」や感情、身体的感覚などの多様性を尊重する紛争解決の概念です。
沈黙している人は、何も考えていないわけではありません。「言いたいけど言えない」「感じているけど表現できない」
そういう声がチームの中に埋もれていることがあります。
心理的安全性の高い職場を作るというのは、この埋もれた声に気づき、それが自然に出てこられる場を作ることなのかもしれません。心理的安全性を高める方法は「対話しましょう」「傾聴しましょう」とよく語られますが、それ以前に、反応のハードルそのものを下げる仕組みが必要だと私は考えています。
成功体験が、チームを変える
仕掛けを作ると、チームに少しずつリアクションが生まれました。
あまり発言しなかった人でも、スタンプなら押せる。ハンドサインなら出せる。小さなリアクションから始まって、そのリアクションがアイデアを動かし、アイデアが動くとまた次のリアクションが生まれる。
このサイクルが、チームの成功体験になっていきました。「反応していい場所だ」「ここでは自分の声が受け止められる」という空気が少しずつ育っていくことで、他のメンバーも提案やアイデアを出せるようになっていったんです。
人間は情報だけでは変わりません。変わるには体験を伴います。だからこそ、その体験を自ら作ってみることから始めるのがいいのかもしれません。
リアクションしやすい場を作る人は、「ジェネレータービルダー」かもしれない
まるで自分ごとのようにして、「いいね、それやろうよ」とおもしろがる人のことを「ジェネレーター」と呼ぶそうです。それはファシリテーター——外側からいい感じに議論が進行するように支える人——とは少し違います(ファシリテーターがいらないという意味では全くありません)。
自分のことのように「いいね!」とおもしろがってくれる人。それがジェネレーターです。
リアクションし続けられる仕組みを作る人は、もしかしたらジェネレータービルダー——ジェネレーターが生まれる場を作る人——なのかもしれません。
リアクションが大事だと心から思うなら、自分がリアクションし続けるだけでなく、他の人がリアクションしやすくなる場を作ること。
少しの工夫でチームが変わるのだとしたら、始めるなら今日が一番早いです。
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